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2006年 12月 31日

サッカーW杯と民族同化 –ドイツの中のトルコ人-

「ドイツ:トルコ系住民 文化統合弾み」(産経新聞 2006.6.25)より:

ドイツ国内にある欧州最大のトルコ人社会でサッカーW杯を機に“異変"が起きている。これまでドイツ社会との接触が少なかった多数のトルコ系住民の間で、ドイツ代表を応援する光景が見られるようになってきたからだ。関係者はトルコ人社会の微妙な変化を関心をもって見つめている。(ベルリン黒沢潤)

トルコの民族音楽が流れ、中東風のたたずまいをみせるベルリンのクロイツベルク地区。大勢のトルコ系住民が住むこの街では、ドイツがゴールを決めるたびに大歓声がわき、ロケット花火が派手に打ち上げられる。
「ドイツの試合日には車で街に繰り出しクラクションを鳴らす」。雑貨屋に勤務するトルコ系2世カバト・ラズガさん(22)はこう話す。

ドイヅ人を驚かせているのは、クロイツベルクだけでなく、少し南方のノイケルン、北部のウエディングなどのトルコ人街全体でも同様の現象が起きていることだ。ベルリンで生まれた2世の輸入業シャヒン・ヤルチンさん(33)は「ドイツ国旗をトルコ人が1日に計10本も応援用に買っていく。こんなことは初めてだ」と驚きを隠さない。

ドイツに住むトルコ系住民は270万人(独国籍取得者80万人)。ドイツの高度経済成長を支える労働者として1960年代に流入してきたのが始まりで、ベルリンには約15万人が住む。クロイツベルクは「小イスタンブール」とも呼ばれる。
ただ、トルコ系住民は独自の文化と宗教を尊重するあまり、独政府の統合(同化)政策が十分に成功してこなかった。

それにもかかわらずトルコ系住民が今回、ドイツ代表に熱心に声援を送るのは、母国トルコがW杯に出場していない事情に加え、前回大会で3位に入賞したトルコを多数のドイツ人が応援したことなどが背景にある。
ベルリンのトルコ人協会の広報担当者、クマリ・カンガル氏(51)は「トルコ系住民は昔、ドイツ社会から隔離されていると感じていた。しかし今では、時代の流れとともにドイツを第2の故郷とみなす人が多くなった。独チームに向ける熱狂的な支持は、異なる言葉や文化的な差異を縮める『橋渡し役』となっている」と指摘する。
著名なドイツ人指導者がトルコのサッカー発展に尽力していることも大きい。独元代表ユップ・デアワル氏は80年代、トルコの名門クラブ、ガラタサライの監督を務めたほか、トルコ代表の指導にもかかわってきた。

ドイツ社会の間ではトルコ系住民に関し、「統合は(サッカーなどではなく)もっと深い次元で行われるもの。住民はドイツの歴史や文化について熟知し、独語も完壁に話すべきだ」(IT関連社員)との厳しい指摘もある。
だが、独西部デュイスブルク・エッセン大学トルコ研究所のファルーク・シェン所長(58)は、「W杯は(統合にとって)重要な岐路になり得る。2世、3世は母国との関係も薄く、独政府が的確な政策を実施するなら、(統合が)いい方向に進むのは間違いない」と話している。
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by satotak | 2006-12-31 07:02 | トルコ


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